忍者ブログ


×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。








『 夕立 02 』≪≪    ≫≫『 問答 06 』   
おまけIndex


 夕立が、心の中までもずぶ濡れにした。
 バイトから帰ってみると美弥はおらず、友達の家に泊まるというメモ書きがある。残り少ない夏休みを満喫するつもりらしい。
 冴えない顔のまま高耶がシャワーを浴びて出てくると、喉の奥の方が痛いことに気付いた。朝からずっと調子が悪かったのに、無理をしたせいだ。ベッドにうつぶせになると、訳もなく涙が滲んできて、高耶は眼を閉じた。
 少し前まで、自分は思ったより幸せなのかもしれないなんて考えていた。
 仙台での事件はひどいものだったけど、自分にとっては初めて仲間と呼べる人間たちと、徐々に信頼の置ける関係を築きつつあったからだ。
 今までがどん底の人生だったから、これからはずっと上がり調子でいくのかもしれないなんて。
 そんな浮かれた気分は全部、あの男に砕かれてしまった。
PR







『 夕立 02 』≪≪    ≫≫『 問答 06 』   
おまけIndex

 月別 一覧

        










 忍者ブログ [PR]