翌日。
再び高耶のテントへコーヒーを持って訪れると、かすかに話し声が聞こえてきた。
今日は、もう起きているらしい。
また勝手に中に入ろうとした潮だったが、一瞬動きを止めた。
外まで漏れてきた声が、くすぐったがっているような、とても楽しげな笑い声だったからだ。
(誰といるんだ)
もしかしたら小太郎が高耶を起こそうとして顔でも舐めているのかもしれない。
いきなり入って猫……ヒョウパンチをくらってもなんなので、
「おうぎぃ、入るぜぃ」
潮は昨日と同じように声をかけた。
すると、急にテント内が静かになる。
「仰木!?」
慌てて中に入ると、予想外なことに高耶はひとりきりだった。
「あれ、今ここに誰かいただろ」
「……いや、オレひとりだけど」
「うそつけ。だって声がきこえて───」
その時、潮はテントがわずかにめくれあがっている部分を見つけた。
どうやら誰かが、入口とは逆の方から強引に外へ出たらしい。
「誰がいたんだよ」
「誰も。聞き違いだろ」
「んなわけねーって。誰だよ。言えよ」
「だから誰もいねえって」
結局、高耶がコーヒーを飲み終えて潮を追い出すまで、その問答が延々と続いた。
再び高耶のテントへコーヒーを持って訪れると、かすかに話し声が聞こえてきた。
今日は、もう起きているらしい。
また勝手に中に入ろうとした潮だったが、一瞬動きを止めた。
外まで漏れてきた声が、くすぐったがっているような、とても楽しげな笑い声だったからだ。
(誰といるんだ)
もしかしたら小太郎が高耶を起こそうとして顔でも舐めているのかもしれない。
いきなり入って猫……ヒョウパンチをくらってもなんなので、
「おうぎぃ、入るぜぃ」
潮は昨日と同じように声をかけた。
すると、急にテント内が静かになる。
「仰木!?」
慌てて中に入ると、予想外なことに高耶はひとりきりだった。
「あれ、今ここに誰かいただろ」
「……いや、オレひとりだけど」
「うそつけ。だって声がきこえて───」
その時、潮はテントがわずかにめくれあがっている部分を見つけた。
どうやら誰かが、入口とは逆の方から強引に外へ出たらしい。
「誰がいたんだよ」
「誰も。聞き違いだろ」
「んなわけねーって。誰だよ。言えよ」
「だから誰もいねえって」
結局、高耶がコーヒーを飲み終えて潮を追い出すまで、その問答が延々と続いた。
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