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 義明が紙袋を手にやってきた。
「兄さん、これ着ませんか?処分しようかとも思ったのですが」
 中には服が数着入っている。
 昔から義明のおさがりは義弘へまわってくる決まりになっていた。
 自分がやっと父親の背丈を越した頃にはすでに、家族の誰よりも
大きくなっていた義明は、成長期の頃は買ったばかりの服がすぐに
着られなくなってよく困っていた。
 だから、自分がそれを貰うようになったのだ。
 照弘はといえば、趣味が違うと言って着たがらない。
「着るよ」
 義弘は紙袋を受け取る。
「お前のおさがりは、彼女の評判がいいんだ」
 遠まわしながらものろけた義弘に、義明は苦笑いを浮かべた。
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