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『 もうひとりのよっくん 05 』≪≪    ≫≫『 もうひとりのよっくん 03 』   
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「ただいま」
 そう言って玄関で靴を脱いでいると、奥から母親がぱたぱたと走って
きた。
「あら、義弘ですか」
 明らかにがっかりされて、また義明が帰ってこないのだなとわかる。
 昔から、こんなことはしょっちゅうだ。
「義明、いないんですか」
「ええ、昨日どこかに泊まると行って出て行ったきり、連絡もよこさない
んですよ」
 もういつものことなのだからいい加減慣れてもいいものだと思うのだが、
母親はどうしても心配らしい。
「そういえば次の日曜、彼女を連れて来ますから」
「あら、久しぶりですね」
 今の彼女とはお見合いがきっかけて付き合うようになったため、ふたりの
初対面の場には母親も居合わせたことになる。
「いいですよ。別に初めて会うわけでもなし、気兼ねなんてせずにいつだっ
ていらしてくれればいいのに」
 こういうさっぱりとしたところは、自分の母親ながら好ましいと思う。
 何故これが義明相手だとああなってしまうのだろうか。
 まあしかし、自分の彼女とはこの先も良い関係を築いてゆけることは
間違いないだろう。
 義弘は、今日あった一大ニュースを報告することにした。
「プロポーズを、受けてもらえたんです」
「………はい?」
 義弘のために夕飯を温めなおしていた母親は目を丸くしたまま固まってしまった。
「なので一応、挨拶がしたいということで」
 しばらく同じポーズで彫像のようになっていた母親だったが、はっと我に
返ると、
「お父さん!お父さん!」
と、慌てて部屋を出て行った。
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