弟がまだ母親の腹の中にいた頃のことを、義弘は未だによく覚えている。
上の兄弟から散々弄られて育った義弘は、その魔の手から絶対に守って
やらなければ、という使命感に燃えていた。
自分は絶対良い兄になるのだと、小さな胸で誓っていたのだ。
しかし、弟が本当に闘うべき相手は他にあるのだと知ったのは、弟が
自らの手首に刃を立てたときのことだった。
「へいきか?」
弟は、布団の上に小さな身体を横たえている。
目尻からは流れた涙のあとがあった。
「めいわくをかけて………すみません」
「……………」
謝られたって、自分は何もしていない。
弟が何故こんなことをしたのかも、その弟に自分は何をしてやれば
いいのかも、何もわからない。
「………かぞくだろ」
そんなことしか言えない自分が歯がゆかった。
上の兄弟から散々弄られて育った義弘は、その魔の手から絶対に守って
やらなければ、という使命感に燃えていた。
自分は絶対良い兄になるのだと、小さな胸で誓っていたのだ。
しかし、弟が本当に闘うべき相手は他にあるのだと知ったのは、弟が
自らの手首に刃を立てたときのことだった。
「へいきか?」
弟は、布団の上に小さな身体を横たえている。
目尻からは流れた涙のあとがあった。
「めいわくをかけて………すみません」
「……………」
謝られたって、自分は何もしていない。
弟が何故こんなことをしたのかも、その弟に自分は何をしてやれば
いいのかも、何もわからない。
「………かぞくだろ」
そんなことしか言えない自分が歯がゆかった。
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