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『 もうひとりのよっくん 02 』≪≪    ≫≫『 会見 』   
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 弟がまだ母親の腹の中にいた頃のことを、義弘は未だによく覚えている。
 上の兄弟から散々弄られて育った義弘は、その魔の手から絶対に守って
やらなければ、という使命感に燃えていた。
 自分は絶対良い兄になるのだと、小さな胸で誓っていたのだ。
 しかし、弟が本当に闘うべき相手は他にあるのだと知ったのは、弟が
自らの手首に刃を立てたときのことだった。

「へいきか?」
 弟は、布団の上に小さな身体を横たえている。
 目尻からは流れた涙のあとがあった。
「めいわくをかけて………すみません」
「……………」
 謝られたって、自分は何もしていない。
 弟が何故こんなことをしたのかも、その弟に自分は何をしてやれば
いいのかも、何もわからない。
「………かぞくだろ」
 そんなことしか言えない自分が歯がゆかった。
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