橘義明の本日最後の跳躍が見事に決まり、陸上部の練習を見学していた数人の女生徒が歓声をあげた。
先日行われた地区予選で、早くもファンがついたらしい。
自分の部活動が早く終わってしまって待たされている奥村は、その様子を白い目で眺めている。
やがて着替えを終えて戻ってきた橘に、奥村は言った。
「お前、高跳び始めてまだ1ヶ月経ってないんだろ。このまま高校生チャンピオンにでもなってみろ。オリンピック目指せるんじゃないのか?」
面白そうに笑う奥村に橘は首を振った。
「県大会を通ったとしても、全国大会には出られないんだ。予定がある」
「は?」
訊くと何か用事があって、関西の方に行かなくてはいけないそうだ。
もうすでに同行者と予定をあわせて、休みの届けまで学校に提出済みだという。
「じゅあお前、県大は辞退するのか」
「まさか、試合にはでるさ」
もう今更出られないとは言えないらしい。
「精一杯やって、負けるんだ」
しれっという橘を奥村はありえない、といった眼で見つめた。
先日行われた地区予選で、早くもファンがついたらしい。
自分の部活動が早く終わってしまって待たされている奥村は、その様子を白い目で眺めている。
やがて着替えを終えて戻ってきた橘に、奥村は言った。
「お前、高跳び始めてまだ1ヶ月経ってないんだろ。このまま高校生チャンピオンにでもなってみろ。オリンピック目指せるんじゃないのか?」
面白そうに笑う奥村に橘は首を振った。
「県大会を通ったとしても、全国大会には出られないんだ。予定がある」
「は?」
訊くと何か用事があって、関西の方に行かなくてはいけないそうだ。
もうすでに同行者と予定をあわせて、休みの届けまで学校に提出済みだという。
「じゅあお前、県大は辞退するのか」
「まさか、試合にはでるさ」
もう今更出られないとは言えないらしい。
「精一杯やって、負けるんだ」
しれっという橘を奥村はありえない、といった眼で見つめた。
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「直江」
服を着終えた高耶が、手を差し出してきた。
その手には銀色の霊枷が乗っている。
いつの間にか外れてしまったらしい。
自分でつけられないわけではないだろうが、直江につけて
もらうことに意味を感じているようだ。
直江はそれを手にとると、まるで何かの儀式のように、
高耶の手首に取りつけた。
服を着終えた高耶が、手を差し出してきた。
その手には銀色の霊枷が乗っている。
いつの間にか外れてしまったらしい。
自分でつけられないわけではないだろうが、直江につけて
もらうことに意味を感じているようだ。
直江はそれを手にとると、まるで何かの儀式のように、
高耶の手首に取りつけた。
いきなり外から、豹の小太郎が弾丸のように飛び込んできた。
そしてしきりに声を発しながら、直江のパンツの袖を噛み切らんばかりに
引っ張るではないか。
「小太郎、どうし……!」
脱いでくれ、と言っている。察して直江はすぐに、パンツを脱ぎ去った。
(黄○編より)
そしてしきりに声を発しながら、直江のパンツの袖を噛み切らんばかりに
引っ張るではないか。
「小太郎、どうし……!」
脱いでくれ、と言っている。察して直江はすぐに、パンツを脱ぎ去った。
(黄○編より)
「しょうがないだろう。あのひとに言われたんだ」
"小太郎に飯をやってくれ"
高耶からの指令で仕方なく直江は建物裏の小太郎の定位置までやって来た。
けれど小太郎は自分の皿を目の前にして食べようとしない。
「こんなことで、あのひとの手を煩わせるな」
そう言うと、小太郎は直江のほうをじっとみつめてきた。
「?」
何か言いたいことがあるらしい。
直江もじっと小太郎の眼を見つめ返す。そして。
「……………そうか」
わかった、とばかりに頷いた直江は、持ってきた餌を手に建物へと歩き出した。
そこへ、潮がカメラを片手にやってくる。
「おっ、やっぱり食わなかったかー」
どうやら猫パンチを喰らう直江の姿を撮りに来たらしい。
「仰木を呼びに行くのか?」
「いや、食事はもう済ませたんだそうだ。タウリンが足りないと言っている」
「……は??たうりん??って小太郎がなに言ってるか、わかんのかよ!」
「なんとなく、な」
唖然とする潮を置いて、直江は食堂へと向かう。
何で俺が……と呟きつつ栄養ドリンクを調達すると、再び小太郎の元へと
戻っていくのだった。
"小太郎に飯をやってくれ"
高耶からの指令で仕方なく直江は建物裏の小太郎の定位置までやって来た。
けれど小太郎は自分の皿を目の前にして食べようとしない。
「こんなことで、あのひとの手を煩わせるな」
そう言うと、小太郎は直江のほうをじっとみつめてきた。
「?」
何か言いたいことがあるらしい。
直江もじっと小太郎の眼を見つめ返す。そして。
「……………そうか」
わかった、とばかりに頷いた直江は、持ってきた餌を手に建物へと歩き出した。
そこへ、潮がカメラを片手にやってくる。
「おっ、やっぱり食わなかったかー」
どうやら猫パンチを喰らう直江の姿を撮りに来たらしい。
「仰木を呼びに行くのか?」
「いや、食事はもう済ませたんだそうだ。タウリンが足りないと言っている」
「……は??たうりん??って小太郎がなに言ってるか、わかんのかよ!」
「なんとなく、な」
唖然とする潮を置いて、直江は食堂へと向かう。
何で俺が……と呟きつつ栄養ドリンクを調達すると、再び小太郎の元へと
戻っていくのだった。
「あ」
これからってところで直江のケイタイが鳴り、無視しようとする直江を叱って電話を取らせた。
直江は今、ベッドに腰掛けながら小源太らしき相手と口論中だ。
その直江の脇腹あたりに、ほくろを見つけたから、思わず声を出してしまった。
直江の、そのモノのカタチやら何やらは網膜に焼きついているが、それ以外の場所となると案外知らないことも多かったりする。
高耶はいたずら心が抑えきれず、そのほくろにかぷりと噛み付いた。
「───!」
『何じゃ、どうした?』
「……なんでもない。もう切る」
『へ?あ、おい!ちょっと、たちば』
ケイタイを電源ごと落とした直江が、高耶に覆い被さってくる。
「待ちきれなくなったんですか」
「……知らないほくろがあったんだ」
「ほくろ?」
「そう」
直江の左手が内腿に進入してきた。
「あなたの身体には私の知らないほくろなんてありませんよ」
「ほんとかよ」
「ええ」
直江が笑みを浮かべる。
「じゃあ今夜は、あなたのほくろの場所をぜんぶ教えてあげる」
まずはココ、と直江は高耶の首筋に噛み付いた。
これからってところで直江のケイタイが鳴り、無視しようとする直江を叱って電話を取らせた。
直江は今、ベッドに腰掛けながら小源太らしき相手と口論中だ。
その直江の脇腹あたりに、ほくろを見つけたから、思わず声を出してしまった。
直江の、そのモノのカタチやら何やらは網膜に焼きついているが、それ以外の場所となると案外知らないことも多かったりする。
高耶はいたずら心が抑えきれず、そのほくろにかぷりと噛み付いた。
「───!」
『何じゃ、どうした?』
「……なんでもない。もう切る」
『へ?あ、おい!ちょっと、たちば』
ケイタイを電源ごと落とした直江が、高耶に覆い被さってくる。
「待ちきれなくなったんですか」
「……知らないほくろがあったんだ」
「ほくろ?」
「そう」
直江の左手が内腿に進入してきた。
「あなたの身体には私の知らないほくろなんてありませんよ」
「ほんとかよ」
「ええ」
直江が笑みを浮かべる。
「じゃあ今夜は、あなたのほくろの場所をぜんぶ教えてあげる」
まずはココ、と直江は高耶の首筋に噛み付いた。
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