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『 クリスマス 02 』≪≪    ≫≫『 「endless richness」クリスマス01と02の間 02 』   
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 潮は、もみの木のてっぺんにオーナメントをのっけている。
 色とりどりの風船にヘリウムガスをいれているのは楢崎だ。
 それを卯太郎は腕いっぱいに抱えて運んでいる。
 今日は楽しいクリスマス・イブ。
 赤鯨衆のイベントプランナーを称する潮の指揮の下、皆飾り付けに余念がない。
 そこへ高耶が現れた。
「なにやってるんだ」
「あ、仰木さ──っとっとっとっ……ああっ!」
 高耶の声に振り向こうとした卯太郎がつまずいてしまって、抱えていた風船のひとつが天井へと上っていった。
 普通の造りよりも天井が高いため、イスに乗って手を伸ばす程度ではとても届きそうにない。
「赤いやつはひとつしかなかったのに………」
 卯太郎は目に見えてしょんぼりとなっている。
「あれはさすがの橘でも届かねーだろーなー」
 楢崎が急に直江の名を出してきたから、不審に思って高耶は訊いた。
「なんで橘なんだ」
「だって、でっけーじゃないっすか」
「………ああ」
 確かに背だけは誰よりも高い。
 数少ない取り得のひとつだ。
「そういえばあいつ、走高跳びの選手だったとか言ってたな……」
「ええっ!?わ、わしっ、ちょっと橘さんを探して来ますきっ!」
 走り出していった卯太郎は、じきに黒服の男を連れてやってきた。
「あれを取ればいいのか?」
「はいっ!おねがいしますっ!」
 頭を下げる卯太郎を横目にみて、直江はその場で勢いをつけると、
 
  ジュワッ!!

とはさすがに言わなかったが、まるでそんな感じで跳んだ。
 着地したその手にはしっかりと赤い風船が握られている。
「すげえ……」
「あ……ありがとうございますっ」
 感激のあまり、卯太郎の目は真っ赤だ。
 その日以来"高くて手が届かないときは橘に"が赤鯨衆での通例となった。
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