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『 横浜 03 』≪≪    ≫≫『 横浜 01 』   
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 ふたりは今、横浜市内のシティホテルに泊まり込みで事件の調査にやって来ていた。
 横浜といえば綾子のお膝元である訳だが、現在彼女は関西の方で調伏活動中だ。
 それなのに調査に急を要する事件が横浜で起きてしまい、直江は仕方なくブーブーと文句を垂れる高耶を連れて、一昨日から泊まり込みでやってきていたのだった。
 幸い、事件は昨日無事に解決した。
 だから今日は、いつもとは違って朝食にたっぷりと時間をかける余裕がある。
 ふたりがホテル内にあるレストランにやってくると、朝食はバイキング形式のようだった。
 宿泊料金は朝食込みでもかなり安いものだったけれど、その割には結構いいメニューが並んでいる。
 育ち盛りの高耶は嬉々として取り皿を山盛りにすると、席に着くなり口の中にかき込み始めた。
 そして、目の前でコーヒーをすする直江に問いかけてくる。
「で、どうすんだよ、今日は」
「そうですねえ」
 重ねて言うが、昨日で事件は解決してしまったのだ。
 高耶は今日の夕方に新宿を出るあずさで帰る予定だったから、それまで時間が空いてしまう。
「早めの便に変えて帰ります?」
「夏休みだろ。自由席で座れなくて立って帰るなんてやだぜ」
「じゃあ、車で送りましょうか」
「渋滞、してんだろ」
 直江の案をことごとく否定した高耶は、
「他になんかねえの?事件」
 料理を口に詰め込む手は止めずに言った。
「……………」
 高耶から事件のことを言い出すなんて、めずらしかった。
 何か家に帰りたくない理由でもあるのだろうか。
「大体、横浜っつったら観光地だろ。どっか寄っていこうぜ」
「まあ、たまにはそれもいいですが……」
 直江が横浜といって思いつくのは、デートスポットばかりなのだ。
「観覧車、乗ります?男二人で」
「じょーだん」
「美術館なんかもありますが」
「…………」
「なら、中華街まで出て美弥さんのおみやげでも買いますか」
「おお!いいじゃん!」
 ということで、本日の予定が決定した。
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