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『 横浜 04 』≪≪    ≫≫『 横浜 02 』   
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 高耶が車でなく電車がいいというので、ホテル近くの駅に車を停めて電車で行くことにした。
 確かに車内は空いていてくつろぎながら移動ができたから、車で行くことを選ばずに正解だったかもしれない。
 ところが、電車移動を言い出した張本人が吊革に掴まりながら、何故か居心地悪そうにしている。
 どうかしたのかを尋ねると、小声で、
「おまえ、目立ちすぎ」
と言われた。
「……………」
 そんなつもりのなかった直江は、自らの格好を見返してみた。
 黒服サングラスならともかく、今日は白シャツにノーネクタイで下だってありふれた濃茶のストライプだ。どうやら、服うんぬんの問題ではないらしい。
(やっぱり、背か)
 昔ほどではなくなったのだが、やっぱり185センチ以上あるとどうしても人目を引く。
 高耶にそう言ったら、
「自覚、ないのな」
と、あきれられた。
「顔が目立つんだよ、おまえは」
 さすがに思いつかなかった理由を言われて、直江は笑うしかなかった。
「こればっかりは生まれつきなのでどうしようもありません」
「わかってるけど」
 そう言って、直江の顔をじっとみた高耶は、
「なあ」
「はい」
「本物の仰木高耶がいたみたいに、ホントの橘義明もいたんだろ」
 思わぬ話題をふってきた。
 電車でする話じゃないな、と思いながら静かに頷く。
「家のひととか、きっと中身がおまえでよかった」
「………どうしてです?」
「きっとそんな見た目じゃ、遊びまくって女泣かせてさ、ロクな人間になんなかっただろ」
と断定的に言ったあとで、高耶はわかんねーけどさと言葉を和らげる。
───……」
 突っ込みどころは満載だけど、とりあえず直江は胸を撫で下ろした。
 既に自分はロクな人間ではないけれど、高耶の目にはまだまともな人間に見えているようだ。
「褒め言葉ですか?」
 茶化すように言ってみたら、
「別に。本当にそう思っただけだ」
 高耶はそっぽを向いてしまった。
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