毎日、真夏日が続いている。
久しぶりに実家へ戻ってきた義弘が週末、家でくつろいでいると、都内でOLをしている姉まで帰ってきた。
「どうなの、大学は」
「順調ですよ」
「ねえ、お母さんに聞いたんだけど、せっかくあんたが家を継ぐっていうのに、義明もそっち系の大学に行くって本当?」
「兄さんだって、資格だけは取ったでしょう」
「そうだけど……」
ちょうどそこへ、義明が学校から帰ってきた。
「兄さん。姉さんまで」
珍しい顔触れに目を丸くしている。
「全員揃っての夕食なんて、どれくらいぶりですかね」
学生鞄の中から空の弁当箱を出して台所の流しに置く弟に、姉が話しかける。
「また変わったこと始めたんだって?」
「変わったこと……」
「ほら、陸上?」
「ああ」
思い当たった弟は、笑みを浮かべた。
「そうなんです。助っ人要員で」
「……本当にやりたいことがあるんなら、お寺のことなんて考えなくていいんだからね」
「───姉さん!」
義弘が思わずあきれた声を出すと、
「お母さんだってそう言うわよ!……たぶん」
冴子は自信無さげに反論をした。
が、しかし、義弘も冴子も、たぶん困ったように笑っている当の義明でさえこの時点ではわかっていなかった。
将来この義明が、放蕩息子などと呼ばれるようになるなんて。
「義明はそんな無責任な人間じゃありませんよ」
今となっては嫌味にしか聞こえないであろうセリフを、その時の義弘はかなり真剣に言ってのけた。
久しぶりに実家へ戻ってきた義弘が週末、家でくつろいでいると、都内でOLをしている姉まで帰ってきた。
「どうなの、大学は」
「順調ですよ」
「ねえ、お母さんに聞いたんだけど、せっかくあんたが家を継ぐっていうのに、義明もそっち系の大学に行くって本当?」
「兄さんだって、資格だけは取ったでしょう」
「そうだけど……」
ちょうどそこへ、義明が学校から帰ってきた。
「兄さん。姉さんまで」
珍しい顔触れに目を丸くしている。
「全員揃っての夕食なんて、どれくらいぶりですかね」
学生鞄の中から空の弁当箱を出して台所の流しに置く弟に、姉が話しかける。
「また変わったこと始めたんだって?」
「変わったこと……」
「ほら、陸上?」
「ああ」
思い当たった弟は、笑みを浮かべた。
「そうなんです。助っ人要員で」
「……本当にやりたいことがあるんなら、お寺のことなんて考えなくていいんだからね」
「───姉さん!」
義弘が思わずあきれた声を出すと、
「お母さんだってそう言うわよ!……たぶん」
冴子は自信無さげに反論をした。
が、しかし、義弘も冴子も、たぶん困ったように笑っている当の義明でさえこの時点ではわかっていなかった。
将来この義明が、放蕩息子などと呼ばれるようになるなんて。
「義明はそんな無責任な人間じゃありませんよ」
今となっては嫌味にしか聞こえないであろうセリフを、その時の義弘はかなり真剣に言ってのけた。
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