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『 ブランコ 01 』≪≪    ≫≫『 抱き枕 』   
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 こうやって距離を置いて遠くから眺めていると、高耶はまるで
手の届かないひとのように思えてくる。
 壇上から一言発するだけで、これだけの大人数の視線を奪って
逸らさせないカリスマ性。
 高耶の言葉のひとつひとつが直江の胸に迫る力を持っていて、
きっと誰もが同じように感じているのだと思うと、息苦しさでいても
たってもいられなくなる。
 彼は本当に自分のよく知るあの高耶なのだろうか。
 四百年もの間、ともに歩んできたあの景虎なのだろうか。
 早く傍らに行きたいと切に思う。
 今、嶺次郎や兵頭のいるあの壇上脇の場所。
 手を伸ばせばすぐ彼に届きそうなあの距離に、早く立ちたい。
 烈命星奪還を第一に考えるのならば高耶と離れている時間の多い
今のポジションはかなり好都合なのだが、いま遊撃隊に入れてやると
言われれば喜んで飛びついてしまいそうだ。
 無益な独占欲。
 けれど自分という男の最深部からじわりじわりと伝わってくる
この感情が、最良燃費のエネルギーであることもちゃんとわかっている。
 今は燃料を蓄えて、静かに待つときだ。
 少しでも火種があればすぐにでも大爆発を起こしてしまいそうな
危険物を制御するために、直江は静かに眼を閉じた。
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