突然宿毛へとやってきた高耶は、なんだか材料を調達して裏の森へと分け入っていった。
「ブランコ、ですか?」
「ああ」
どうしても作るつもりらしいから手伝ってやると、程なくして大人ふたりくらいは余裕で乗せられそうなものができあがり、丈夫そうな木の枝に吊るしてやった。
「夢だったんだ、ブランコのある家に住むのが」
何故に突然そんなことを言い出したのかわからないが、高耶はゆっくりと漕いでいるから、直江は余った材料の上に腰掛けてそれを眺める。
「ブランコがあれば、風のない日でも風が吹く」
しばらく切っていない長い髪を靡かせて、高耶は言う。
「だから好きだったんだ。ほらうち、クーラー無かったし」
「暑い日はブランコに乗ってたんですか」
「そう。鎖が熱くなってるから気をつけないといけないんだよな」
他愛の無い会話に、直江の心は満たされていく。
ほどなくして、よっ、とブランコから飛び降りた高耶は、使った道具を片付け始めた。
帰るつもりらしいから直江も残った材料を手に後に続くと、
「他のやつらには言うなよ。あいつら新しいものとみるとすぐに飛びつくから」
と言われた。
自分だけひいきにされているようで少し嬉しくなる。
「ふたりだけの秘密ですね」
浮かれた気分が顔に出てしまったのか、高耶が意外そうにこちらをみてきた。
「今更、そんなことで喜べるのか」
「ええ、嬉しいですね」
開き直ってそういうと、しょうがないなと笑われた。
「馬鹿だな」
「馬鹿ですよ」
それこそ今更、と真面目な顔で頷いてみせた。
「ブランコ、ですか?」
「ああ」
どうしても作るつもりらしいから手伝ってやると、程なくして大人ふたりくらいは余裕で乗せられそうなものができあがり、丈夫そうな木の枝に吊るしてやった。
「夢だったんだ、ブランコのある家に住むのが」
何故に突然そんなことを言い出したのかわからないが、高耶はゆっくりと漕いでいるから、直江は余った材料の上に腰掛けてそれを眺める。
「ブランコがあれば、風のない日でも風が吹く」
しばらく切っていない長い髪を靡かせて、高耶は言う。
「だから好きだったんだ。ほらうち、クーラー無かったし」
「暑い日はブランコに乗ってたんですか」
「そう。鎖が熱くなってるから気をつけないといけないんだよな」
他愛の無い会話に、直江の心は満たされていく。
ほどなくして、よっ、とブランコから飛び降りた高耶は、使った道具を片付け始めた。
帰るつもりらしいから直江も残った材料を手に後に続くと、
「他のやつらには言うなよ。あいつら新しいものとみるとすぐに飛びつくから」
と言われた。
自分だけひいきにされているようで少し嬉しくなる。
「ふたりだけの秘密ですね」
浮かれた気分が顔に出てしまったのか、高耶が意外そうにこちらをみてきた。
「今更、そんなことで喜べるのか」
「ええ、嬉しいですね」
開き直ってそういうと、しょうがないなと笑われた。
「馬鹿だな」
「馬鹿ですよ」
それこそ今更、と真面目な顔で頷いてみせた。
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