「げ」
嶺次郎の部屋へシャワーを浴びに来たら、替えの下着を忘れてしまった。
まあ、部屋に戻るまでの間だし、ということでそのまま直にジーンズを履くことにする。
微妙な開放感を心地悪く感じながら部屋を出ると、隊長、と声をかけてくる者がいた。
「兵頭」
その場で次の作戦がどうとか話し込んでいるうちに、また別の隊士がやってくる。
そうこうしていたら、下着のことなんてすっかり忘れてしまい、結局そのまま軍議へと向かってしまった。
「仰木さん」
軍議を終えてもまだ会議室で話し込んでいると、中川がカバンを持ってやってきた。
「今からちょっと出てしまうので、その前に例の傷、見せてください」
「ここでか?」
「ええ、しばらく戻れないかもしれないので見ておきたいんです」
いいけど、と言いかけて、ハッと気付く。
実は先の戦闘で、高耶は左の内腿を負傷した。
おかげで直江には散々そこを責められているのだが、まあ、それはいい。
問題は、下着を履いていないことだ。
会議室にはまだまだ隊士たちがたくさん居残っている。
これだけの人数の前でパンツ一丁ならともかく、フル○ンはまずくないか?
「あー…、そういえばオレ、ちょっと用事を思い出したようなー……」
別にいいのだ。さっきシャワーを浴びたとき替えの下着を忘れたから実はいまノーパンなんです、とすっかり言ってしまえばいい。けれどなんだかそれでは変な誤解をされるような気がして、とっさに言い訳がましい事が口をついて出てしまった。
「何を言ってるんですか。ほら、早く」
こうなってくると、なかなか本当のことが言い出せない。会議室中の人間がこっちを見ているような錯覚に陥る。
事実、隊士たちは全員高耶に注目していた。そりゃあそうだ。天下の仰木高耶の下着姿が見られるというのだから。
と、そこへ天からの助け舟が現れた。
「隊長」
「なお……橘」
突然直江に声をかけられて、小さなパニック状態だった高耶は思わず素で返事をしかけてしまう。
「緊急事態です。すぐ来てください」
切羽詰った表情で言われて、内心ホッとしながら返事をする。
「わかった。悪いな、中川」
「あ、仰木さん……!」
呼び止める中川を置いて、高耶は颯爽と去っていった。
残された隊士たちの間には無念の吐息が漏れる。
高耶のほうは、会議室を出て早足の直江とともに並んで歩き始めていた。
「んで、緊急事態って何だ?」
「……嘘ですよ」
「は?……いてっ……!」
腕をぐいと掴まれて近くの部屋へと連れ込まれた。部品倉庫のようだ。
「下着、履いてないんでしょう?」
壁際に追い詰められながら言い当てられて、思わず怪訝な表情になる。
こいつ、シャワー室を覗いていたのか?
「ラインでわかります」
直江はそう言って、高耶の尻を撫でた。
この男は観察眼はいったいどうなっているのかと、高耶は悪い意味で驚愕しながら、その手を振り払う。
「よせよ」
「どうして履いていないんです?理由によっては……容赦しませんよ」
どんな妄想をしているのかはわからないが、直江の眼は真剣だ。
「なんでもねーよ。ただシャワー浴びたときに替えの下着を忘れたんだ」
「本当ですか」
「ああ」
高耶はため息を吐いた。
こんなことでくだらないことで議論なんてしたくない。
「わかりました。今回は信じます。まあ、脱ぐ手間も省けますしね」
「ちょ……っ…………………あ」
ああ、やっぱり天からの助け舟などではなく、肉欲の国から来た絶倫皇子だったのだ。
あっという間にジーンズを下ろし、直江の手は不穏に動き出す。
それに翻弄されながら高耶は、どうせ下着を脱がせる手間なんて、手間のうちに数えてないだろ、と心の内で毒づいた。
嶺次郎の部屋へシャワーを浴びに来たら、替えの下着を忘れてしまった。
まあ、部屋に戻るまでの間だし、ということでそのまま直にジーンズを履くことにする。
微妙な開放感を心地悪く感じながら部屋を出ると、隊長、と声をかけてくる者がいた。
「兵頭」
その場で次の作戦がどうとか話し込んでいるうちに、また別の隊士がやってくる。
そうこうしていたら、下着のことなんてすっかり忘れてしまい、結局そのまま軍議へと向かってしまった。
「仰木さん」
軍議を終えてもまだ会議室で話し込んでいると、中川がカバンを持ってやってきた。
「今からちょっと出てしまうので、その前に例の傷、見せてください」
「ここでか?」
「ええ、しばらく戻れないかもしれないので見ておきたいんです」
いいけど、と言いかけて、ハッと気付く。
実は先の戦闘で、高耶は左の内腿を負傷した。
おかげで直江には散々そこを責められているのだが、まあ、それはいい。
問題は、下着を履いていないことだ。
会議室にはまだまだ隊士たちがたくさん居残っている。
これだけの人数の前でパンツ一丁ならともかく、フル○ンはまずくないか?
「あー…、そういえばオレ、ちょっと用事を思い出したようなー……」
別にいいのだ。さっきシャワーを浴びたとき替えの下着を忘れたから実はいまノーパンなんです、とすっかり言ってしまえばいい。けれどなんだかそれでは変な誤解をされるような気がして、とっさに言い訳がましい事が口をついて出てしまった。
「何を言ってるんですか。ほら、早く」
こうなってくると、なかなか本当のことが言い出せない。会議室中の人間がこっちを見ているような錯覚に陥る。
事実、隊士たちは全員高耶に注目していた。そりゃあそうだ。天下の仰木高耶の下着姿が見られるというのだから。
と、そこへ天からの助け舟が現れた。
「隊長」
「なお……橘」
突然直江に声をかけられて、小さなパニック状態だった高耶は思わず素で返事をしかけてしまう。
「緊急事態です。すぐ来てください」
切羽詰った表情で言われて、内心ホッとしながら返事をする。
「わかった。悪いな、中川」
「あ、仰木さん……!」
呼び止める中川を置いて、高耶は颯爽と去っていった。
残された隊士たちの間には無念の吐息が漏れる。
高耶のほうは、会議室を出て早足の直江とともに並んで歩き始めていた。
「んで、緊急事態って何だ?」
「……嘘ですよ」
「は?……いてっ……!」
腕をぐいと掴まれて近くの部屋へと連れ込まれた。部品倉庫のようだ。
「下着、履いてないんでしょう?」
壁際に追い詰められながら言い当てられて、思わず怪訝な表情になる。
こいつ、シャワー室を覗いていたのか?
「ラインでわかります」
直江はそう言って、高耶の尻を撫でた。
この男は観察眼はいったいどうなっているのかと、高耶は悪い意味で驚愕しながら、その手を振り払う。
「よせよ」
「どうして履いていないんです?理由によっては……容赦しませんよ」
どんな妄想をしているのかはわからないが、直江の眼は真剣だ。
「なんでもねーよ。ただシャワー浴びたときに替えの下着を忘れたんだ」
「本当ですか」
「ああ」
高耶はため息を吐いた。
こんなことでくだらないことで議論なんてしたくない。
「わかりました。今回は信じます。まあ、脱ぐ手間も省けますしね」
「ちょ……っ…………………あ」
ああ、やっぱり天からの助け舟などではなく、肉欲の国から来た絶倫皇子だったのだ。
あっという間にジーンズを下ろし、直江の手は不穏に動き出す。
それに翻弄されながら高耶は、どうせ下着を脱がせる手間なんて、手間のうちに数えてないだろ、と心の内で毒づいた。
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