「あの、すみません」
繁華街で突然、ものすごく綺麗な女性に声をかけられて、奥村は思わずどきまぎしてしまう。
けれど彼女は奥村の前を素通りして、一緒に歩いていた橘に話しかけ始めたからがっかりだ。
「君、もうどこかの事務所に入ってるのかな」
やはりいつものスカウトだ。芸能事務所やらモデル事務所やら、橘と都内を歩いているとこういうことが多々ある。
「ええ。残念ですが」
もちろん橘はそういった事務所などには入っていないが、断る口実としていつもこの手を使う。
「そっか、そうだよね。じゃあコレだけ貰ってくれる?」
彼女は名刺を差し出してきた。
素直に橘が受け取ると、首を傾げてニコっと笑う。
その笑顔があまりに魅力的で、奥村は思わず見とれてしまった。
「何かあったら、いつでも連絡ちょーだいね」
彼女はそう言って、長い髪を靡かせながら去っていった。
その残り香にクラクラしながら、
「小遣い稼ぐつもりでやってみりゃあいいのに」
奥村が呟くと、橘は受け取ったばかりの名刺を奥村に突きつけた。
「なら、お前がやればいい」
「無茶いうな」
奥村は手渡された名刺に目を通す。○○モデルエージェンシーと印刷された名刺で彼女の肩書きはなんと代表取締役となっている。
「すげえ、あの人、社長じゃないか」
あんなに若くて綺麗な社長がこの世には存在するんだな、と奥村は感心する。
「きっと、元モデルとかだな」
奥村がそういうと、橘は、
「個人的なお付き合いなら、お願いしてもよかったな」
呆気にとられてしまった。
あんな美女とどうこうなろうという発想自体、奥村などには思いつかない。
「お前と俺とじゃ思考の次元が違いすぎるんだ」
奥村が厭そうにいうと、
「今更気付いたのか」
橘は笑って言った。
繁華街で突然、ものすごく綺麗な女性に声をかけられて、奥村は思わずどきまぎしてしまう。
けれど彼女は奥村の前を素通りして、一緒に歩いていた橘に話しかけ始めたからがっかりだ。
「君、もうどこかの事務所に入ってるのかな」
やはりいつものスカウトだ。芸能事務所やらモデル事務所やら、橘と都内を歩いているとこういうことが多々ある。
「ええ。残念ですが」
もちろん橘はそういった事務所などには入っていないが、断る口実としていつもこの手を使う。
「そっか、そうだよね。じゃあコレだけ貰ってくれる?」
彼女は名刺を差し出してきた。
素直に橘が受け取ると、首を傾げてニコっと笑う。
その笑顔があまりに魅力的で、奥村は思わず見とれてしまった。
「何かあったら、いつでも連絡ちょーだいね」
彼女はそう言って、長い髪を靡かせながら去っていった。
その残り香にクラクラしながら、
「小遣い稼ぐつもりでやってみりゃあいいのに」
奥村が呟くと、橘は受け取ったばかりの名刺を奥村に突きつけた。
「なら、お前がやればいい」
「無茶いうな」
奥村は手渡された名刺に目を通す。○○モデルエージェンシーと印刷された名刺で彼女の肩書きはなんと代表取締役となっている。
「すげえ、あの人、社長じゃないか」
あんなに若くて綺麗な社長がこの世には存在するんだな、と奥村は感心する。
「きっと、元モデルとかだな」
奥村がそういうと、橘は、
「個人的なお付き合いなら、お願いしてもよかったな」
呆気にとられてしまった。
あんな美女とどうこうなろうという発想自体、奥村などには思いつかない。
「お前と俺とじゃ思考の次元が違いすぎるんだ」
奥村が厭そうにいうと、
「今更気付いたのか」
橘は笑って言った。
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