ところが医務室へ来てみても、肝心の中川がいなかった。
鼻血は止まったものの顔面蒼白の卯太郎は、ベッドへ横になるとそのまま目を閉じてしまった。
貧血のせいで、意識がはっきりしていないようだ。
すぐにでも処置をしなければならないというのに、高耶は何故か上の空でいた。
「どうしました」
「いや……昔はあーゆうのすげえとか思ってたけど、今見るとたいしたことないのな」
達観した表情を浮かべて、腕を組んだりしている。
「何故でしょうね」
「さあな。どっかの誰かの頭ん中が、AVでもできねーようなことでいっぱいだからだろ」
「……どっかの誰かさんはソレを悦んでいるようですけどね」
少しだけ笑みを浮かべた直江が、高耶の頬に手を伸ばす。
そのまま互いの顔が近づいて、今にも唇が触れるかというところで痛い視線に気が付いた。
せっかくとまった鼻血をまた吹き出しながら、卯太郎がふたりを見つめている。
「………だいじょうぶか」
高耶が何事もなかったように、パタパタと手で仰いでやると、
「中川を呼んできます」
直江も何事もなかったように部屋を出て行った。
「おうぎさん……えーぶいにもできないことちゅうのは……よろこんでちゅうのは……」
潤んだ瞳でいう卯太郎に、高耶は冷静な声でぴしゃりと言った。
「いいから、忘れなさい」
鼻血は止まったものの顔面蒼白の卯太郎は、ベッドへ横になるとそのまま目を閉じてしまった。
貧血のせいで、意識がはっきりしていないようだ。
すぐにでも処置をしなければならないというのに、高耶は何故か上の空でいた。
「どうしました」
「いや……昔はあーゆうのすげえとか思ってたけど、今見るとたいしたことないのな」
達観した表情を浮かべて、腕を組んだりしている。
「何故でしょうね」
「さあな。どっかの誰かの頭ん中が、AVでもできねーようなことでいっぱいだからだろ」
「……どっかの誰かさんはソレを悦んでいるようですけどね」
少しだけ笑みを浮かべた直江が、高耶の頬に手を伸ばす。
そのまま互いの顔が近づいて、今にも唇が触れるかというところで痛い視線に気が付いた。
せっかくとまった鼻血をまた吹き出しながら、卯太郎がふたりを見つめている。
「………だいじょうぶか」
高耶が何事もなかったように、パタパタと手で仰いでやると、
「中川を呼んできます」
直江も何事もなかったように部屋を出て行った。
「おうぎさん……えーぶいにもできないことちゅうのは……よろこんでちゅうのは……」
潤んだ瞳でいう卯太郎に、高耶は冷静な声でぴしゃりと言った。
「いいから、忘れなさい」
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