「照弘君、少し外していて貰えるかな」
「……わかりました」
兄がしぶしぶ部屋を出ていくと、国領はふう、とため息を吐いた。
「驚くべきことだ」
どうやら、思念波のことを言っているようだ。
「普通は鍛錬を積みに積んで手にするもの。しかも皆が操れるようになるというものでもない」
少しだけ羨望の混じった眼差しで、国領は直江を見つめる。
「幾つで出来るように?」
「ずっと前から。やりかたをおもいだせばいいだけでした」
「"ずっと前"というのは生まれた時か。それとも、前世の記憶があるとでもいうのか」
「国領さん。わたしは……」
どう伝えるべきか、直江は言葉を選びながら話す。
国領は信頼できる人間だと判断した直江は、いずれ自分が調伏活動を再開した際の協力者となるかもしれないと思い始めていた。
「わたしにとっては、いまの状態が正常なんです」
「覚醒したといいたいわけか」
「あなた風にいえば、このからだはすでに悪霊であるわたしのもので、タチバナヨシアキは二度ともどらない」
そう言った後で、
(話しすぎたかもしれない)
直江は少々、後悔した。
「……わかりました」
兄がしぶしぶ部屋を出ていくと、国領はふう、とため息を吐いた。
「驚くべきことだ」
どうやら、思念波のことを言っているようだ。
「普通は鍛錬を積みに積んで手にするもの。しかも皆が操れるようになるというものでもない」
少しだけ羨望の混じった眼差しで、国領は直江を見つめる。
「幾つで出来るように?」
「ずっと前から。やりかたをおもいだせばいいだけでした」
「"ずっと前"というのは生まれた時か。それとも、前世の記憶があるとでもいうのか」
「国領さん。わたしは……」
どう伝えるべきか、直江は言葉を選びながら話す。
国領は信頼できる人間だと判断した直江は、いずれ自分が調伏活動を再開した際の協力者となるかもしれないと思い始めていた。
「わたしにとっては、いまの状態が正常なんです」
「覚醒したといいたいわけか」
「あなた風にいえば、このからだはすでに悪霊であるわたしのもので、タチバナヨシアキは二度ともどらない」
そう言った後で、
(話しすぎたかもしれない)
直江は少々、後悔した。
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