天気予報通り、雨は下校時刻までにはすっかり止んでいた。
けれど空気中に残った水分が、まる霧雨のように肌をジットリと湿らせる。
ふたりが並んで校門を出て少し歩いたところで、ふと高耶の足が止まった。
「ほらな」
得意気な声で言った高耶の視線の先には、譲にも見覚えのある乗用車が停まっている。
その傍らに立っていた人物がこちらに気付いて、声を掛けてきた。
「こんにちは」
「直江さん……」
直江は掛けていたサングラスを外すと、眩しそうに目を細める。
「駅まで送れよ」
高耶は、直江がやって来た事情も何も聞かないうちからそう言った。
けれど直江も、
「いいですよ」
それが当たり前のように頷いている。
「譲さんも、どうぞ」
高耶がさっさと車に乗り込んでしまうと、直江は譲のためにドアを開けて促してくれた。
「けど、高耶に用事があったんじゃ……」
「いえ、いいんです」
「………」
譲が納得のいかない顔でいると、
「昨日の晩」
直江は声をひそめた。
「呼ばれた気がしたんです」
「……高耶に?」
「ええ」
直江はその顔に苦笑を浮かべる。
「本人に言ったところで、否定されるだけでしょうけど」
けれど空気中に残った水分が、まる霧雨のように肌をジットリと湿らせる。
ふたりが並んで校門を出て少し歩いたところで、ふと高耶の足が止まった。
「ほらな」
得意気な声で言った高耶の視線の先には、譲にも見覚えのある乗用車が停まっている。
その傍らに立っていた人物がこちらに気付いて、声を掛けてきた。
「こんにちは」
「直江さん……」
直江は掛けていたサングラスを外すと、眩しそうに目を細める。
「駅まで送れよ」
高耶は、直江がやって来た事情も何も聞かないうちからそう言った。
けれど直江も、
「いいですよ」
それが当たり前のように頷いている。
「譲さんも、どうぞ」
高耶がさっさと車に乗り込んでしまうと、直江は譲のためにドアを開けて促してくれた。
「けど、高耶に用事があったんじゃ……」
「いえ、いいんです」
「………」
譲が納得のいかない顔でいると、
「昨日の晩」
直江は声をひそめた。
「呼ばれた気がしたんです」
「……高耶に?」
「ええ」
直江はその顔に苦笑を浮かべる。
「本人に言ったところで、否定されるだけでしょうけど」
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