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『 2歳 』≪≪    ≫≫『 従兄弟 02 』   
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 冷房の効いた車内の空気は、カラッと乾いていて心地がよかった。
 出発するなり、後部座席の高耶は運転席側に身を乗り出す。
「で、今日はどこの女んとこ?」
 譲が目を丸くしていると
「こいつ、全国各地に女がいんだって」
と意地悪い笑みで高耶が言った。
「渡り歩いてるらしいぜ」
「高耶さん……。長秀なんかの言うことを真に受けちゃ駄目ですよ」
「ねーさんも言ってた」
「………晴家め」
 そうは言いながら、ふたりともネタとして話している雰囲気だ。
「まあ、どこの女だっていーけどさ。刺されんぜ、いつか」
「いいですね。男冥利に尽きます」
「言ってろよ」
 高耶は先程までの暗さはどこへやらで、けらけらと笑っている。
(すごいなあ……)
 へそを曲げている時の高耶は譲でも扱いに困る事があるのに、直江は現れただけでその心を解してしまった。
 従兄弟というから、やはりそこは血の繋がりのせいだろうか。
(俺も高耶の親戚だったらよかったのに)
 車は、あっという間に駅周辺までやってくる。
「どこにつけます?」
「どこでもいい。そこらへんで」
 高耶の言う通り、直江は駅前からは少し離れた場所で車を停めた。
「すぐ帰んの?」
「ええ。東京に戻らなければならないので」
「そっか」
──譲さん」
 車を降りた譲に、直江が真面目な顔で声を掛けてきた。
「周囲でおかしなことがあったら、いつでも連絡してください」
「……ありがとう」
 譲が頷くと、
「平気だって。オレがついてる」
 高耶が妙に自信たっぷりでそう言った。
 それを聞いた譲の脳裏に、とある言葉が蘇る。
───そばにいてあげてください。
 直江との間で交わされた、約束事。
 この言葉を思い出す度、自分と同じように高耶を心配してくれる人がいるのだ思って嬉しくなる。
 直江と顔を見合わせた譲が思わず笑い声を漏らすと、
「なに?なんだよ」
 高耶が不満げな声をあげた。
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