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『 LOVE SONG 』≪≪    ≫≫『 飯ごう 02 』   
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「残念でしたね」
 夜、本部からの伝令だとか言って、無理やり作戦地までやってきた直江は、外で独り佇んでいた高耶の背中に声をかけた。
「直江」
 振り返った高耶は、少々ふくれっつらだ。
「あんなに焦がすとは思わなかった」
 高耶は昼間、潮との飯ごう炊さん対決で、見事な負けを喫していた。
 いま直江は、潮からその話を散々聞かされてきたところだ。
 赤鯨衆に来る前の高耶は野外で自炊していたと聞いていたけれど、すでにその頃の勘は鈍ってしまっているらしい。
「あなたは固めのほうが好きだから、水を少なくしすぎたんでしょう」
 そう言うと、
「……おまえが柔らかくしすぎるんだ」
と返された。
 そういえば昔、"これじゃあ米を食べている気がしない"とまで言われたことを思い出した。
 もちろん白米など口に出来なかった時代もあったのだが、食材が芋だろうが豆だろうが、よく煮込みすぎだと怒られたものだ。
 その頃の回想に浸っていると、
「おまえ、飯ごうでメシ炊けるよな」
 高耶も考え事の顔で言ってきた。
「ええまあ」
 しばらくやっていないけれど、やってできないことはないだろう。
「なら明日、おまえが武藤と勝負しろ」
 え、と直江は思わず反論顔になった。
 ただでさえ強硬手段でここへやってきてしまったから、この後すぐ宿毛に戻る予定なっているのだ。
「命令だ」
 高耶は意思を曲げようとしない。
 いつもは高耶のほうから帰れと言い出すのに、何だか珍しい。
「オレの仇を討って来い」
 そう言い残して、高耶は去っていく。
「……御意」
 直江は笑いながら、満天の星空をみあげた。
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