「大丈夫か?」
「え?」
「最近、顔色が悪いぞ」
「──ええ、大丈夫です」
末の弟は、そう言って笑った。
「そうか?」
照弘は少しだけ、違和感を感じた。
昔みたいな不安定な感じはないけれど、何だかそれが逆に怖い。
時折、感情をどこかに落としてきてしまったような顔をしている。
その不安感を吹き飛ばそうと、わざと明るく言った。
「今日はホワイトデーだぞ?本命の子くらいにはお返ししとけよ」
「……貰ってもいないのに、あげられません」
義明の言葉を聞いて、お、と思った。
すこし荒んだ物言いは気になったけど、ちゃんとそういう人がいるんなら、大丈夫だ。
「ちゃんと会いに行ったほうがいい。大事だぞ、イベントごとってのは」
そうですね、けど……と義明は
「遠すぎて、とても無理です」
その言い方がすごく悲しげだったから、照弘は何も言えなくなってしまった。
「そうか───」
「ええ」
ここで何かしてやれないのかと思ってしまうところが、過保護なんだというのはよくわかってる。
(お袋さんのこと、言えないな)
弟の横顔を見つめながら苦笑の顔になっていると、すぐ横にあった電話器が鳴り出したから、受話器を取った。
「え?」
「最近、顔色が悪いぞ」
「──ええ、大丈夫です」
末の弟は、そう言って笑った。
「そうか?」
照弘は少しだけ、違和感を感じた。
昔みたいな不安定な感じはないけれど、何だかそれが逆に怖い。
時折、感情をどこかに落としてきてしまったような顔をしている。
その不安感を吹き飛ばそうと、わざと明るく言った。
「今日はホワイトデーだぞ?本命の子くらいにはお返ししとけよ」
「……貰ってもいないのに、あげられません」
義明の言葉を聞いて、お、と思った。
すこし荒んだ物言いは気になったけど、ちゃんとそういう人がいるんなら、大丈夫だ。
「ちゃんと会いに行ったほうがいい。大事だぞ、イベントごとってのは」
そうですね、けど……と義明は
「遠すぎて、とても無理です」
その言い方がすごく悲しげだったから、照弘は何も言えなくなってしまった。
「そうか───」
「ええ」
ここで何かしてやれないのかと思ってしまうところが、過保護なんだというのはよくわかってる。
(お袋さんのこと、言えないな)
弟の横顔を見つめながら苦笑の顔になっていると、すぐ横にあった電話器が鳴り出したから、受話器を取った。
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