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『 ダイエット 』≪≪    ≫≫『 進路 02 』   
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「いいなあ、おまえは」
 何かの報告だとかいって電話をかけてきた直江に、高耶はそう言った。
『何の話です』
「遊び歩いてて、親に文句言われねえ?」
『遊んでるわけではないですが………。まあ、文句は散々言われてますよ」
「ってことは暗示、使ってないんだ」
『ええ』
 こだわりがあるらしい。
 自分も、絶対に使いたくない。
 だけど……不安は募るばかりだ。
『何かあったんですか?』
 高耶は直江に、一連の事情を話してみた。すると、
『まだあと一年以上もあるでしょう』
 直江は何でもないことのように言った。
『ゆっくり、準備をしていけばいいんですよ』
「……そうかな」
『ええ。あなたの希望に沿えるよう、私も協力しますから』
 直江の言葉には、常套文句とか、高耶をこの場だけ納得させるためとか、そういった嘘の響きはなかった。高耶はそういったウソには鼻が利くからよくわかる。直江は本気でそう思っている。
 だってそうだ。
 今まで高耶が付き合ってきた大人たちとは違う。彼らは……例えば教師や、同級生の親なんかは、一時だけの付き合いであることが大前提だった。
 でも直江と高耶は、下手したら一生、付き合っていくことになる。高耶の進路問題は、直江の今後の問題でもあるのだ。
 一年後の予想はまったくつかなかったけど、直江が変わらず一緒にいることだけは確かだった。だったら直江の言うとおり、一緒に少しずつ考えていけばいい。
 高耶は、進路のことは頭の隅へと押しやって、しばらく寝かせておくことにきめた。
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