これから数時間は、相手方に動きはないと踏んで、高耶は隊士たちに交代での休憩を取るように伝達した。
最初の休憩組に組み込まれた直江は、渡された弁当を手に煙草を吸っていた。
正直、あまりおいしそうには見えないな、と思っていると、背後からささやき声がする。
『直江』
普段は絶対"橘"としか呼ばない高耶だ。
何事かと思って振り返ると、弁当をぐいと差し出してくる。
中華風の弁当には白米でなくチャーハンが入っていたのだが、その脇に詰め込まれた食紅の赤。
高耶の嫌いな紅しょうがだ。
直江は一応あたりに気を配りながら、誰にも見られないようにそれを自分の弁当に移した。
「残せばいいでしょうに」
「卯太郎に笑われるんだよ」
高耶はそう言うと、まるで何事も無かった風を取り繕って去っていった。
最初の休憩組に組み込まれた直江は、渡された弁当を手に煙草を吸っていた。
正直、あまりおいしそうには見えないな、と思っていると、背後からささやき声がする。
『直江』
普段は絶対"橘"としか呼ばない高耶だ。
何事かと思って振り返ると、弁当をぐいと差し出してくる。
中華風の弁当には白米でなくチャーハンが入っていたのだが、その脇に詰め込まれた食紅の赤。
高耶の嫌いな紅しょうがだ。
直江は一応あたりに気を配りながら、誰にも見られないようにそれを自分の弁当に移した。
「残せばいいでしょうに」
「卯太郎に笑われるんだよ」
高耶はそう言うと、まるで何事も無かった風を取り繕って去っていった。
PR
月別 一覧