掲示板の前は、かつてないほどの人で溢れていた。大盛況だ。
そんな人だかりを、卯太郎はニコニコ顔で眺めている。
「ったく、人の生活覗いて何が楽しいんだか」
「皆、仰木隊長のことを少しでも知っちょきたいがです!」
「………そうなのか?」
卯太郎の横に立った高耶が呆れ顔で掲示板を見つめていると、見物人の輪の中からよく見知った男たちが続々と現れた。
潮に、中川に、兵頭に………。
「橘……。おまえもか」
「気になったもので」
そう答えた黒いミリタリーウェアの男に、
「どうでした!?」
卯太郎は期待に満ちた眼差しで感想を求めた。
「……よく書けてるな」
「ありがとうございます……!」
小動物を見るような橘の視線を浴びながら、卯太郎がぺこりと頭を下げていると、
「で、夜はどこ行ってたんだよ」
潮が、高耶に向かって言った。
「は?」
「そうですよ。嘉田さんの部屋でシャワーを浴びた後、どこを探してもいなかったって書いちょりましたよ」
中川も、何故か半分ニヤけた顔で高耶に聞く。
「……卯太郎。そんなこと書いたのか」
「はい!わしも仰木さんに、どこにいっちょったがか、聞きたかったがです!」
「やはり……何か秘密の特訓を……?」
兵頭の言葉に、
「……まあな」
高耶が苦々しくうなずくと、
「おまえってば……!くーぅ、どこまでもストイックなやつ!」
潮は呆れた声を出した。
「く……っ!負けてはいられん……!」
兵頭は、青ざめた顔で踵を返す。
その後ろ姿を目で追っていた橘は、どこか余裕の表情で言った。
「秘密の特訓ですか」
高耶が一瞬、言葉を詰まらせる。
「………そうだよ」
「大変ですねえ、隊長ともなると」
「───うるせえっ!」
さすが、とても真似できませんねえ、と頷きながら去っていく橘を恨めしげに睨み付けながら、
「いつかぜってぇコロす……!!」
高耶は拳を握り締めた。
そんな高耶の震える拳を、卯太郎と潮は不思議な顔で、中川だけは意味ありげな顔で見つめていた。
そんな人だかりを、卯太郎はニコニコ顔で眺めている。
「ったく、人の生活覗いて何が楽しいんだか」
「皆、仰木隊長のことを少しでも知っちょきたいがです!」
「………そうなのか?」
卯太郎の横に立った高耶が呆れ顔で掲示板を見つめていると、見物人の輪の中からよく見知った男たちが続々と現れた。
潮に、中川に、兵頭に………。
「橘……。おまえもか」
「気になったもので」
そう答えた黒いミリタリーウェアの男に、
「どうでした!?」
卯太郎は期待に満ちた眼差しで感想を求めた。
「……よく書けてるな」
「ありがとうございます……!」
小動物を見るような橘の視線を浴びながら、卯太郎がぺこりと頭を下げていると、
「で、夜はどこ行ってたんだよ」
潮が、高耶に向かって言った。
「は?」
「そうですよ。嘉田さんの部屋でシャワーを浴びた後、どこを探してもいなかったって書いちょりましたよ」
中川も、何故か半分ニヤけた顔で高耶に聞く。
「……卯太郎。そんなこと書いたのか」
「はい!わしも仰木さんに、どこにいっちょったがか、聞きたかったがです!」
「やはり……何か秘密の特訓を……?」
兵頭の言葉に、
「……まあな」
高耶が苦々しくうなずくと、
「おまえってば……!くーぅ、どこまでもストイックなやつ!」
潮は呆れた声を出した。
「く……っ!負けてはいられん……!」
兵頭は、青ざめた顔で踵を返す。
その後ろ姿を目で追っていた橘は、どこか余裕の表情で言った。
「秘密の特訓ですか」
高耶が一瞬、言葉を詰まらせる。
「………そうだよ」
「大変ですねえ、隊長ともなると」
「───うるせえっ!」
さすが、とても真似できませんねえ、と頷きながら去っていく橘を恨めしげに睨み付けながら、
「いつかぜってぇコロす……!!」
高耶は拳を握り締めた。
そんな高耶の震える拳を、卯太郎と潮は不思議な顔で、中川だけは意味ありげな顔で見つめていた。
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