「読書の秋、ですかねえ」
中川は卯太郎に、秘密ですよと言いながら、医務室の隅に積まれた段ボール箱を開けて見せてくれた。
中には様々な本が、ぎっしりと詰まっている。
「"いんたーねっと"ちゅうもんはまっこと便利やき♪」
ほくほく顔ではしゃぎながら、中川は本を眺めている。
卯太郎も真似して、中を覗き込んだ。
その殆どが医学的な専門書のようだったが、一部には呪術や修法に関する書籍も見受けられる。
その中で、一風変わった毛色の表紙を、卯太郎は見つけてしまった。
「しゅ……??」
タイトルは「衆道~戦国主従の男色事情~」。
卯太郎がその本を手に取ろうとすると、中川はその手をバシッとはたいた。
「痛っ!」
悲鳴をあげる卯太郎に、
「これは───その、ほんとのところはどうなっちゅうがと思って」
どこか不自然な笑みを浮かべて、中川は卯太郎に言った。
「ほんとのところ?」
はたかれた手を擦りながら聞き返す。
「……この本のことは、誰にも言うてはいけんですよ」
「───はい」
小さな声で返事をしながら、笑っていない瞳が妙に怖いと思う卯太郎だった。
中川は卯太郎に、秘密ですよと言いながら、医務室の隅に積まれた段ボール箱を開けて見せてくれた。
中には様々な本が、ぎっしりと詰まっている。
「"いんたーねっと"ちゅうもんはまっこと便利やき♪」
ほくほく顔ではしゃぎながら、中川は本を眺めている。
卯太郎も真似して、中を覗き込んだ。
その殆どが医学的な専門書のようだったが、一部には呪術や修法に関する書籍も見受けられる。
その中で、一風変わった毛色の表紙を、卯太郎は見つけてしまった。
「しゅ……??」
タイトルは「衆道~戦国主従の男色事情~」。
卯太郎がその本を手に取ろうとすると、中川はその手をバシッとはたいた。
「痛っ!」
悲鳴をあげる卯太郎に、
「これは───その、ほんとのところはどうなっちゅうがと思って」
どこか不自然な笑みを浮かべて、中川は卯太郎に言った。
「ほんとのところ?」
はたかれた手を擦りながら聞き返す。
「……この本のことは、誰にも言うてはいけんですよ」
「───はい」
小さな声で返事をしながら、笑っていない瞳が妙に怖いと思う卯太郎だった。
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