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『 洗濯班 おまけのおまけ 』≪≪    ≫≫『 洗濯班 03 』   
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 仰木高耶の着た服は、他の隊士たちの服とは違う扱われ方をする。
 それは彼が特別だからというわけではなく、彼の着た服には少なからず毒素が含まれているからだ。
 洗濯をするときも決して素手では触らないようにしなければいけないし、中川掃部が開発した毒抜きの洗剤で三度は洗わなければいけない。
 それでも長く着ていると落としきれない毒素のせいで服の繊維がぼろぼろになってしまうのだ。そしてそれも毒を含んでいるため、そこら辺のごみ箱には捨てることができない。
 だから中川の指示で、月に一度不要になった高耶の服を焼却処分することなっていた。
 それも『洗濯班』の大事な仕事のひとつだ。
 しかも以前、焼却されるはずの高耶の衣服が裏で取引されて出回ってしまい、そのせいで中毒患者を出してしまうという事件があった。
 それ以来、焼却処分にはかならず高耶も立ち会うことになっている。
 つまり、焼却処分の担当者は服が完全に燃えきるまで、高耶とずっと一緒にいることができるのだ。
 今日はその月に一度の日。
 またしても盛大なじゃんけん大会の結果、至福のポジションを手にすることができたのは、例の大戦中に亡くなったという若い隊士だった。
 彼が火の準備をしながら裏庭で待っていると、じきに高耶がやってくる。
 手には大きな紙袋をぶら下げている。
「今月はこれだけだ」
「じゃあまずリストを作りましょうか」
「悪いな」
「いえいえ」
 ウキウキ顔の隊士は、処分漏れが無いように作る決まりになっているリストを作成するために、手袋をはめて衣類を物色し始めた。
「あれ、破れてる。これまだ新しくないですか?」
「わるい、戦闘中に……」
「あ、こっちもおろしたてだ。なのにボタンが全部取れてる……」
「……………」
 自然に取れたという感じではなく、どうみても引きちぎったような感じだ。
 高耶は何だか気まずそうな顔で黙り込んでいる。
 何か説明できない事情があるのかもしれない。
(秘密任務とか……?)
 だから気を使って言ってあげた。
「今月もここと前線を行ったり来たりで忙しそうでしたもんね。けど、戦闘には古い服着てったほうがいいですよ。きっと調達班が文句を言いに来ます」
「………よく言っとく」
「言っとく?」
「いや、よくわかった」
 そう言い直した高耶の横顔は、怒っているような、あきれているような、反省しているような、微笑っているような、複雑な表情だった。
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