忍者ブログ


×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。








『 不開門へ 』≪≪    ≫≫『 千秋誕生日記念 』   
おまけIndex


 バイクが置き去りになってしまうことに若干抵抗を覚えつつ、高耶は言われるがまま、セフィーロへと乗り込んだ。
 やや遅れて、高耶には事情を知る"義務"があるのだと言い切った男が運転席へと座る。
 静かに発進した車内は、煙草の匂いがした。
 何も言わずに手のひらを差し出すと、男は運転中にも関わらず疑問顔で高耶の顔を見つめた。
 くれよ、とばかりに灰皿をコツコツと叩く。
「未成年でしょう。駄目ですよ」
 癖なのか、男は年下の高耶に対しても敬語を織り交ぜながら答える。
「頭、カタいのな」
 仕方なく高耶が手を引っ込めると、
「……それでよく、あなたに怒られましたよ」
 男は小さく笑った。
 出会ったばかりなのに"よく怒られた"訳がないのだが、その顔は妙に嬉しそうだ。
(………なんだ)
 とっつきにくさが薄らいで、若干の親近感が沸いた。
 そのせいなのか、男の充分に安定したハンドル捌きのおかげなのか、行く先もわからない初めての車内で、高耶は不安を感じずに過ごすことが出来た。
PR







『 不開門へ 』≪≪    ≫≫『 千秋誕生日記念 』   
おまけIndex

 月別 一覧

        










 忍者ブログ [PR]