バイクが置き去りになってしまうことに若干抵抗を覚えつつ、高耶は言われるがまま、セフィーロへと乗り込んだ。
やや遅れて、高耶には事情を知る"義務"があるのだと言い切った男が運転席へと座る。
静かに発進した車内は、煙草の匂いがした。
何も言わずに手のひらを差し出すと、男は運転中にも関わらず疑問顔で高耶の顔を見つめた。
くれよ、とばかりに灰皿をコツコツと叩く。
「未成年でしょう。駄目ですよ」
癖なのか、男は年下の高耶に対しても敬語を織り交ぜながら答える。
「頭、カタいのな」
仕方なく高耶が手を引っ込めると、
「……それでよく、あなたに怒られましたよ」
男は小さく笑った。
出会ったばかりなのに"よく怒られた"訳がないのだが、その顔は妙に嬉しそうだ。
(………なんだ)
とっつきにくさが薄らいで、若干の親近感が沸いた。
そのせいなのか、男の充分に安定したハンドル捌きのおかげなのか、行く先もわからない初めての車内で、高耶は不安を感じずに過ごすことが出来た。
やや遅れて、高耶には事情を知る"義務"があるのだと言い切った男が運転席へと座る。
静かに発進した車内は、煙草の匂いがした。
何も言わずに手のひらを差し出すと、男は運転中にも関わらず疑問顔で高耶の顔を見つめた。
くれよ、とばかりに灰皿をコツコツと叩く。
「未成年でしょう。駄目ですよ」
癖なのか、男は年下の高耶に対しても敬語を織り交ぜながら答える。
「頭、カタいのな」
仕方なく高耶が手を引っ込めると、
「……それでよく、あなたに怒られましたよ」
男は小さく笑った。
出会ったばかりなのに"よく怒られた"訳がないのだが、その顔は妙に嬉しそうだ。
(………なんだ)
とっつきにくさが薄らいで、若干の親近感が沸いた。
そのせいなのか、男の充分に安定したハンドル捌きのおかげなのか、行く先もわからない初めての車内で、高耶は不安を感じずに過ごすことが出来た。
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