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『 千秋の受難 05 』≪≪    ≫≫『 千秋の受難 03 』   
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 今日は何かある。絶対何かある。
 たぶん厄日というやつだ。
 心優しい我らが大将、仰木高耶大先生が自宅に泊めてもいいというので、キズモノになってしまった恋人で向かうことにした。
 途中、古びた酒屋に停車して、アルコールを調達をする。
 こんな日は酒だ。飲まなきゃやってられない。
 ただ、その酒屋が随分古い店構えだったから、どんな商品が並んでいるのか多少心配しつつも入り口の前に立つ。ところが。
「上!うえっっ!」
 通行人の叫び声が後ろから聞こえて、千秋はハッと頭上を見上げた。
 やけに大きくて古びた看板が、いま、まさに、落ちてこようとしている。
「くぅっっっっ!!」
 とっさに横っ飛びにとんで、間一髪。
   ずしーーん
 ………避けきれなかった。
 頭をかばって倒れこんだ千秋の両足の上に、ひどく重い看板が、大きな音を立てて着地した。
 土ぼこりが静まるのを待って足をひっぱりだそうとしてみたが、両足ともなんだか感覚がない。
 こんなことがあっていいのだろうか。
 何もかもが信じられない状況の中、千秋は天を仰いで呟いた。
「ありえねぇ……」
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