やっと手に入れた自分の車。初めてのドライブ相手に、照弘は義明を選んだ。
いつ自殺衝動がおこるかわからないのに、外へ連れ出すなんて絶対に駄目だという
母親の反対を押し切って、海へとやってきたのだ。
「海なんて、久し振りだろ」
防波堤にふたりして腰掛けて、照弘は言った。
「昔、皆で来た時のこと、覚えてるか?」
体育座りで海を見つめる、義明からは返事がない。
けれど、その瞳の色がいつもと違うことがわかったから、来てよかったな、と思った。
湿った風に吹かれてぼーっとしていると、時間が経つのを忘れてしまう。
気がつくと、義明は抱いた自分の膝に顔を埋めていた。
多分、泣いているのだ。
肩が小刻みに震えている。
照弘はその小さな肩に手を回し、引き寄せた。
いつ自殺衝動がおこるかわからないのに、外へ連れ出すなんて絶対に駄目だという
母親の反対を押し切って、海へとやってきたのだ。
「海なんて、久し振りだろ」
防波堤にふたりして腰掛けて、照弘は言った。
「昔、皆で来た時のこと、覚えてるか?」
体育座りで海を見つめる、義明からは返事がない。
けれど、その瞳の色がいつもと違うことがわかったから、来てよかったな、と思った。
湿った風に吹かれてぼーっとしていると、時間が経つのを忘れてしまう。
気がつくと、義明は抱いた自分の膝に顔を埋めていた。
多分、泣いているのだ。
肩が小刻みに震えている。
照弘はその小さな肩に手を回し、引き寄せた。
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