忍者ブログ


×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。








『 よっくん 06 』≪≪    ≫≫『 よっくん 04 』   
おまけIndex


 やっと手に入れた自分の車。初めてのドライブ相手に、照弘は義明を選んだ。
 いつ自殺衝動がおこるかわからないのに、外へ連れ出すなんて絶対に駄目だという
母親の反対を押し切って、海へとやってきたのだ。
「海なんて、久し振りだろ」
 防波堤にふたりして腰掛けて、照弘は言った。
「昔、皆で来た時のこと、覚えてるか?」
 体育座りで海を見つめる、義明からは返事がない。
 けれど、その瞳の色がいつもと違うことがわかったから、来てよかったな、と思った。
 湿った風に吹かれてぼーっとしていると、時間が経つのを忘れてしまう。
 気がつくと、義明は抱いた自分の膝に顔を埋めていた。
 多分、泣いているのだ。
 肩が小刻みに震えている。
 照弘はその小さな肩に手を回し、引き寄せた。
PR







『 よっくん 06 』≪≪    ≫≫『 よっくん 04 』   
おまけIndex

 月別 一覧

        










 忍者ブログ [PR]