登校するまですっかり忘れていたが、今日はバレンタインデーだったのだ。
照弘は、その恵まれたルックスのお陰で結構モテる。
本気も義理も含めて順調に集まったチョコレートは、下校する頃には去年の数を上回っていた。
「ただいまー」
「あら、おかえりなさい。もうすぐお夕飯ですよ」
台所のテーブルで絵本を眺めている義明に、お帰りなさいのキスを要求して嫌がられる。
そのテーブルの上には、チョコレートが数個置かれていた。
父親もそれなりに成果があったらしい。
「義弘、お前いくつだった?」
たまたま飲み物を取りにやってきた義弘に声を掛けると、
「秘密」
と返事が返ってきた。
この次男坊が自分より多く貰ってきたことはない。
よし、この分だと今年も俺が一番だな、とニヤつきながら居間に視線を移して、仰天した。
「な、なんだ、これっ!!」
かなり大きめのちゃぶ台の上には、乗り切らないほどのチョコレートが山積みとなっている。
「皆さんがね、よっくんにって。ホワイトデーのお返し、どうしましょうかねぇ」
おたまを手に首をかしげる母親は、どこか嬉しそうだ。
「よっくん……」
義明は、山盛りのチョコには目もくれずに、真剣に絵本を読み進めている。
照弘は、もうすぐ年少組へとあがる末弟の底知れぬ恐ろしさに、その身を震わせた。
照弘は、その恵まれたルックスのお陰で結構モテる。
本気も義理も含めて順調に集まったチョコレートは、下校する頃には去年の数を上回っていた。
「ただいまー」
「あら、おかえりなさい。もうすぐお夕飯ですよ」
台所のテーブルで絵本を眺めている義明に、お帰りなさいのキスを要求して嫌がられる。
そのテーブルの上には、チョコレートが数個置かれていた。
父親もそれなりに成果があったらしい。
「義弘、お前いくつだった?」
たまたま飲み物を取りにやってきた義弘に声を掛けると、
「秘密」
と返事が返ってきた。
この次男坊が自分より多く貰ってきたことはない。
よし、この分だと今年も俺が一番だな、とニヤつきながら居間に視線を移して、仰天した。
「な、なんだ、これっ!!」
かなり大きめのちゃぶ台の上には、乗り切らないほどのチョコレートが山積みとなっている。
「皆さんがね、よっくんにって。ホワイトデーのお返し、どうしましょうかねぇ」
おたまを手に首をかしげる母親は、どこか嬉しそうだ。
「よっくん……」
義明は、山盛りのチョコには目もくれずに、真剣に絵本を読み進めている。
照弘は、もうすぐ年少組へとあがる末弟の底知れぬ恐ろしさに、その身を震わせた。
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