忍者ブログ


×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。








『 よっくん 03 』≪≪    ≫≫『 よっくん 01 』   
おまけIndex


 登校するまですっかり忘れていたが、今日はバレンタインデーだったのだ。
 照弘は、その恵まれたルックスのお陰で結構モテる。
 本気も義理も含めて順調に集まったチョコレートは、下校する頃には去年の数を上回っていた。
「ただいまー」
「あら、おかえりなさい。もうすぐお夕飯ですよ」
 台所のテーブルで絵本を眺めている義明に、お帰りなさいのキスを要求して嫌がられる。
 そのテーブルの上には、チョコレートが数個置かれていた。
 父親もそれなりに成果があったらしい。
「義弘、お前いくつだった?」
 たまたま飲み物を取りにやってきた義弘に声を掛けると、
「秘密」
と返事が返ってきた。
 この次男坊が自分より多く貰ってきたことはない。
 よし、この分だと今年も俺が一番だな、とニヤつきながら居間に視線を移して、仰天した。
「な、なんだ、これっ!!」
 かなり大きめのちゃぶ台の上には、乗り切らないほどのチョコレートが山積みとなっている。
「皆さんがね、よっくんにって。ホワイトデーのお返し、どうしましょうかねぇ」
 おたまを手に首をかしげる母親は、どこか嬉しそうだ。
「よっくん……」
 義明は、山盛りのチョコには目もくれずに、真剣に絵本を読み進めている。
 照弘は、もうすぐ年少組へとあがる末弟の底知れぬ恐ろしさに、その身を震わせた。
PR







『 よっくん 03 』≪≪    ≫≫『 よっくん 01 』   
おまけIndex

 月別 一覧

        










 忍者ブログ [PR]