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『 よっくん 02 』≪≪    ≫≫『 How's it taste? 02 』   
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「お、おかあさんッ!よっくんがッ!」
 義明と遊んでいたはずの冴子の叫び声が家中に響き渡り、自室で宿題をやっていた
照弘は慌てて居間まで駆けつけた。
 見ると、掴まり立ちをしている義明の右手が今まさにちゃぶ台から離れようとしている。
 初めての一歩を踏み出す、世紀の瞬間だ。
「よっくん!がんばれッ!」
 自分だって"よっくん"のくせに、義弘が大声をあげた。しかも照弘にしてみれば、
義弘だって歩けるようになったのはついこの間のことなのに。
「いいですかッ!もしこのまま転んだとしても、手を出しちゃ駄目ですよッ!転ぶことも
立派な勉強なんですからッ!」
 母親のありえないほどの動転振りに、風呂に入ろうとしていた父親までが何事かと
覗きにやってきた。
「ああああッッッ!!」

  とこ、とこ、とこ  ドテッ

 義明は三歩を立派に歩いて見せて、きれいに尻餅をついた。
「よっくん、すごーーい♪♪♪」
「義明、よくがんばりましたね!」
 母親は大げさにも涙を拭いている。
「もういっかい!よっくん、もういっかい!」
「ちょっと待った。カメラ、いやビデオにしよう♪」
 父親はパンツ一丁のままで、納戸を漁り始めた。
 当の義明は、騒ぎ立てる家族の真ん中で不思議そうな顔をしている。
(………かわいい……っ)
 ずっと後ろの方で我慢していた照弘も、堪らなくなって皆の輪の中から義明を抱き上げると、そのすべすべした柔らかい頬にキスをした。
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