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『 9月12日 』≪≪    ≫≫『 週末 03 』   
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 仕方なく、言いつけ通りに浴室へと入ってシャワーの蛇口を捻ると、高耶好みの少しぬるめのお湯が出てきた。
(しくじったな………)
 温度設定を少し高めに変えながら、直江は今朝ここで立てた計画を心の底から悔やんでいた。
 PD社の社長を巻き込むことなくただ兄と食事に行っただけなら、きっともっと早くに帰ってこられただろうに。
 浅はかな自分を呪わしく思いながら浴室を出ると、キッチンから高耶の姿が消えていた。
 寝室を覗いてみると、高耶はベッドの端っこの方で丸くなっている。
「隣、いいですか」
「………いいよ」
 布団に入って、後ろから肩に触れても怒られなかったから、背後からそのまま抱きしめた。
───オレさ」
「はい?」
「卒業したら、東京に来ようかと思う」
「えっ」
 驚きのあまり、直江は二の句が告げられなかった。
 あれだけ松本を離れることは出来ないと言っていたくせに………。いったいどうしたというのだろう。
「そうなったら、ここに住もうと思うんだけど」
「ぜ、ぜひそうしてください」
「けど、おまえにしてみたら面倒なことなんじゃないか?帰り遅くなる度に、オレのこと気にしなきゃなんないし」
「面倒な訳ないでしょう!」
 思わず声が大きくなっていた。
「……そっか」
 つぶやく高耶を抱く腕に、ぎゅっと力を込める。
「出来るものなら、うちの事務所に就職してもらって、朝昼晩、ずっと一緒に………」
 直江は本心からそう思うのに、何故かおかしそうに笑った高耶は、その身体を小さく揺らした。
「ベッドはもうひとつ買うからな」
「ええ!何故です!一緒に寝るのが嫌なんですか!」
「………いや、対外的なもんがあるだろ。ふたりで住んでて、ベッドひとつじゃおかしすぎる」
 高耶は呆れた声を出しながら、
「それにほら」
 直江の手を掴んだ。
 導かれるまま辿り着いた先には、しっかりと反応した高耶の性器。
「毎晩こんなことになってたら、オレ、身体が持たない」
 ……自分としては、大歓迎だと思いつつ、
「じゃあ、今夜は身体への負担をかけずに満足出来る方法を模索してみましょう」
「…………淡白なのは、やだぜ?」
 大丈夫と直江は頷いた。
「ちゃんと濃厚で、ハイクオリティな、スペシャルコースですよ」
 耳元で、そう囁くと、腕の中の高耶の身体が、ぶるりと震えた。
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