「美弥さんは幸せですね。いいお兄さんを持って」
「………どうかな」
高耶の胸の内に、罪悪感の霧が充満する。
「そう思ってもらえるよう、努力するしかないよな」
小さく呟いた。
それを聞いた直江は、
「私のコレは義務だと思ってやっていますけど」
と、自らの恰好を示す。
「あなたが美弥さんにしていることは義務からじゃない。愛情でしょう?」
直江の低く響く声が、周囲の森に溶け込んでいく。
「そこが、あなたの、あなたたる所以なんですよ」
「───……」
高耶は戸惑いながら答えた。
「オレのこと、よく知らないくせに」
まだ出会って二ヶ月やそこらなのだ、自分と直江は。
知った風に、語られたくない。
そう思うのに、心の片側ではまるで遠い昔からの知り合いのような気がしていた。
いや実際、そうなのだが。
「知っていますよ」
直江は高耶の方を見ながら言った。
「よく、知っています」
………そうかもしれなかった。
自分がこの男のことを誰よりも知っているような気がするのと同じで、この男も自分を誰よりも知っているのかもしれない。
満天の星の下、高耶は頬に男の視線を感じながら、そう考えていた。
「………どうかな」
高耶の胸の内に、罪悪感の霧が充満する。
「そう思ってもらえるよう、努力するしかないよな」
小さく呟いた。
それを聞いた直江は、
「私のコレは義務だと思ってやっていますけど」
と、自らの恰好を示す。
「あなたが美弥さんにしていることは義務からじゃない。愛情でしょう?」
直江の低く響く声が、周囲の森に溶け込んでいく。
「そこが、あなたの、あなたたる所以なんですよ」
「───……」
高耶は戸惑いながら答えた。
「オレのこと、よく知らないくせに」
まだ出会って二ヶ月やそこらなのだ、自分と直江は。
知った風に、語られたくない。
そう思うのに、心の片側ではまるで遠い昔からの知り合いのような気がしていた。
いや実際、そうなのだが。
「知っていますよ」
直江は高耶の方を見ながら言った。
「よく、知っています」
………そうかもしれなかった。
自分がこの男のことを誰よりも知っているような気がするのと同じで、この男も自分を誰よりも知っているのかもしれない。
満天の星の下、高耶は頬に男の視線を感じながら、そう考えていた。
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