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 今日の日替わり定食は、トンカツに肉じゃがまでついていたらしい。
 会議終了後、顔見知りの隊士が嬉しそうに話していた。
 昨日、直江の隊の活躍で、ここしばらく続いていた宿毛周辺の小競り合いに決着がついたのだ。
 その勝利記念でおかずを豪華にしてくれたらしい。
 宿毛の日替わり定食といえば、足摺の連中が海上を見廻るついでに獲ってきた魚介類や、赤鯨衆の持ち畑で採れた野菜など、肉のあまり使われていないものが多い。
 とはいえ直江はそれすらあまり口にしたことがなかった。
 食堂へ行くのは大抵夜中になってからだから、日替わりなんてとっくに売り切れていて、翌朝の物資配送が来ない限り、注文は限られたものしか頼めない。
「あ、橘さん、お疲れ様です」
 カウンター越しに、何にします?と訊いてきた夜番の食堂員に、なんでもいいと言って
席に着いた。どうせいつも残り物を寄せ集めた、似たようなメニューなのだ。
 しかも昼間はすぐに出てくる料理も、夜中は下ごしらえなどで時間が掛かる。
 ところが。
「はい、どうぞ」
「……………」
 しばらく経って、わざわざ席まで持って来てくれたお膳には、しっかりトンカツと肉じゃがが乗っていた。
 意外に思って顔を見ると、なじみのその食堂員はにっこり笑った。
「うまいっすよ」
 わざわざ取っておいてくれたらしい。
「ありがとう」
 礼を言って受け取ると、なんだか嬉しそうに戻っていった。
 彼は現代霊だ。
 もともと前線に出ていたのだが、念動力があまり上手ではなく、今は外されてしまっている。
 しかしそのうちにまた復帰するつもりで、毎日の訓練は欠かしていないのだそうだ。
 戦場で会う日も近いかもしれない。
 噛み砕いたトンカツは、サクサクの衣に肉も柔らかく、とても美味しいものだった。
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