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『 従兄弟 01 』≪≪    ≫≫『 未練 04 』   
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「そうか。そんなことを……」
「もう少しここで過ごしていたら、入隊していた可能性もありましたね」
「早まったと言いたいのか」
「いいえ。少なくとも、ひとりの憑坐が救われました」
 ベッドに横たわり、直江の腕に身体を預けて首を傾げていた高耶は、やがて口を開いた。
「この世に残るのに、憑坐が必要なかったら?」
───もちろん、霊体でも残れますが……。それがどういうことか、あなたも知っているでしょう?」
「そうじゃなくて。もし霊体でも、身体があるように振舞えたら?」
 《力》が強い霊などは、宿体がなくても変わりなく振舞えることもある。
「どうでしょう……。ただ、霊体では飲食もできなければ、眠ることもありません」
 直江は、それに、と付け足した。
「愛するひとに触れることもできない」
 直江は、高耶を抱く腕に力を込めた。
「いずれ、宿体が欲しくなるでしょうね」
「そうかもな」
 直江の腕の、心地の良い圧迫感に身を任せながら、だけど……と高耶は考える。
 肉体の求めるものは満たしてやれなくても、心の欲求だけは汲み取ってやりたい。
 無理やり浄化させるのではなく、きちんと納得してこの世を旅立っていって欲しい。
 それだけであれば、肉体がなくとも出来るはずだ。
 自分はこの身体を手放せないのに、そう思うのはずるいだろうか。
 自分が出来ないことを人に求めるのは、罪深いことなのだろうか。
「オレは………おまえに触れられなくなったら、きっと気が狂う」
「高耶さん」
 直江が首筋に顔を摺り寄せてきて、
───……」
 高耶はゆっくりと目を閉じた。
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