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『 未練 05 』≪≪    ≫≫『 未練 03 』   
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 直江がまわしてきた車に、高耶は乗り込まなかった。
 少年だけを乗せると、後は任せるとばかりに発進を指示する。
 直江はまず、少年の携帯していた身分証の住所へと車へ向けた。
「この身体から離れたら、僕はどうなるの?」
 やっぱりそこが気になるらしく、少年は幼い口調で尋ねてきた。
 先ほど高耶は言わなかったけれど、教えてやらねばならない。
「おまえは《調伏》される。つまり、浄化するんだ」
「浄化……」
「いつかまた生まれ変わるために、あの世へと行く」
 ふうんと、軽い風を装って返事をしながら少年の握る手に力が込められた。
「怖いか」
「……別に」
 少年は冷たい瞳で言う。
「この世界の方が……生きていくことの方が怖い。だから飛び降りたんだ」
「……………」
 子供の自殺が増えているとは聞いているが、実際目の前にすると何て言ってやればいいのかわからない。
 生きていればいいこともあったろう、と言ってしまっていいものだろうか。
 そもそも日本では昔から、自死による意思表示を尊ぶ傾向にある。
 そういえばかつて、自分も散々自傷を繰り返していたものだ。
「でも」
 しばらく経ってから、少年はぽつりと呟いた。
「生きてるうちにあんな仲間が出来てれば、死んだりしなかったかも」
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